適格現物出資とは?要件やメリットなど
「会社を設立したいが、手元のキャッシュが少なく設立資金に困っている」「最低資本金額は1円でよいとはいえ、資本金を1円で起業した場合融資の審査に通りにくくなりそう」。会社設立に関するご相談は多岐にわたりますが、中でも多く頂戴するご相談は、「会社を設立したいが、手元にまとまったキャッシュがなくて困っている」というものです。
そのようなお悩みをお持ちの皆様にご検討いただきたいのが、「現物出資」という制度です。
ここでは現物出資の要件やメリットについてみていきましょう。
現物出資とは
そもそも現物出資とは何でしょうか。
現物出資とは、金銭以外で会社設立時の出資を行うことを指します。
例えばビルなどの不動産、商標権などの無形固定資産、自動車などの有形固定資産などが挙げられます。
ただし、何でもかんでも現物出資として認められるわけではなく、一定の要件を満たした場合のみ、現物出資として認められます。
具体的には以下の要件を満たす必要があります。
・発起人であること
現物出資は発起人のみ認められます。
・定款への記載
現物出資する者の氏名又は名称、出資対象の財産及びその価額、現物出資者に割り当てる設立時発行株式の数を記載します。
・裁判所が選んだ検査役による財産の評価
現物出資財産が申告どおりの金額価値であるかを調査する必要があります。
検査役の調査は不要な場合もあるため確認しておきましょう。
・出資した現物の評価額が著しく下落したときの担保責任
適格現物出資とは
ここまで現物出資とは何かについてみてきました。
では適格現物出資とは何でしょうか。
現物出資は税制適格要件を満たすかどうかによって、「適格現物出資」と「非適格現物出資」の2種類に分けられます。
現物出資のうち、税制適格要件を満たすものを「適格現物出資」、そうでないものを「非適格現物出資」と区分しています。
基本的に現物出資による資産の移転は、税務上時価譲渡とされています。
しかし、一定の要件を満たす「適格現物出資」の場合、帳簿価額で譲渡したとみなし譲渡損益の課税の繰延が行われます。
適格現物出資の要件は以下のとおりです。
・100パーセントの持株関係である企業グループ内における現物出資
・50パーセントを超える持株関係がある企業グループ内における現物出資
・共同事業のための現物出資
適格現物出資か非適格現物出資のどちらに該当するかによって税務上の扱いが大きく異なるため、慎重な判定が必要になります。
適格現物出資のメリット
では適格現物出資を行うと、どのようなメリットを享受することができるのでしょうか。
例えば以下のようなものが挙げられます。
・資金調達方法のバリエーションが増える
キャッシュ以外の資産を出資することができるため、資金調達の方法を多様化することができます。
また、出資する側からしても、キャッシュ以外の資産で出資することができるので、幅広い出資者を募ることができます。
・資本利得の可能性
出資された資産は、その価値が認められた場合には株式に換算され、資本金に加算されます。
そのため、出資者にとっては将来的な資本利得の可能性があるというメリットがあります。
・資産の活用
会社にとっては、不動産や機械などの有形資産や特許、商標などの無形資産を出資として受け取ることにより、これらの資産を有効活用することができます。
また、出資する側も例えば遊休状態になっている有形固定資産などで出資することができるので、維持費などが発生している資産も有効に活用できるというメリットがあります。
組織再編に関するご相談は税理士法人ムサシにご相談ください
現物出資は多くのメリットが存在しますが、適用するためにはいくつかの要件を満たす必要があります。
また適格現物出資に関しては、税務上のポイントも多く含むため、慎重な判断が求められます。
効果的に適格現物出資を活用するために、専門化である税理士に相談することを検討してもよいでしょう。
税理士法人ムサシには組織再編に関する経験が豊富な税理士が在籍しております。
組織再編でお悩みの皆様は、お気軽にお問い合わせください。
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税理士・公認会計士紹介
[得意分野]
事業再生・合併M&A・相続税、贈与税等の資産税、法人税、所得税、消費税、経営計画、経営分析、原価計算、法人税、消費税
[経歴]
- 大正15年11月 生まれ
- 昭和26年 3月 神戸商科大学(現兵庫県立大学)経営学科卒業
- 昭和26年 4月 ニチメン株式会社(現双日株式会社)入社
- 昭和34年 1月 公認会計士登録
- 昭和40年 1月 ニチメン株式会社を円満退社
- 昭和40年 3月 税理士登録
- 平成 2年10月 ファイナンシャルプランナー登録
- 平成 3年10月 医業経営コンサルタント(経営)登録
- 平成14年 7月 税理士法人ムサシ 代表社員
- 平成17年 6月 NPO法人「公的病院をよくする会」副理事長
[得意分野]
経営企画、内部統制、原価計算、事業再生、法人税、消費税、相続税
[経歴]
- 昭和56年 1月 生まれ
- 平成17年 3月 神戸大学経営学部卒業
- 平成17年11月 公認会計士2次試験合格
- 平成17年12月 より平成21年6月まで新日本監査法人勤務
- 平成24年 7月 公認会計士登録
- 平成24年12月 税理士登録
- 平成30年 4月 税理士法人ムサシ 代表社員
[得意分野]
経営計画、経営分析、原価計算、法人税、消費税
[経歴]
- 昭和62年11月 生まれ
- 平成18年 3月 山口県立防府高等学校卒業
- 平成22年 3月 関西学院大学商学部卒業
- 平成22年11月 公認会計士試験合格者取得
- 平成26年10月 公認会計士登録
事務所概要
事務所名 | 税理士法人ムサシ |
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