M&Aにおける会社分割のメリット・デメリットを解説
会社分割は、企業の成長戦略や事業再編の一環として活用される手法です。
さまざまなメリットがある一方で、注意したいデメリットもあります。
今回は、M&Aにおける会社分割の概要と種類を整理したうえで、メリット・デメリットを解説いたします。
会社分割とは
会社分割とは、企業が行っている事業の一部または全部を切り離し、他の会社へ承継させる方法です。
会社法上は、主に以下の2種類の形態があります。
形態 | 説明 |
新設分割 | 既存の会社が自社の事業の一部を切り離し、新たに設立する会社に承継させる方法です。 |
吸収分割 | 既存の会社が別の既存会社に事業を引き継がせる方法です。 |
会社分割は、経営戦略やM&Aの実行手段として重要な位置づけです。
会社分割のメリット
会社分割のメリットは、以下の3つです。
- 組織体制や意思決定プロセスの改善ができる
- 不採算事業を切り離せる
- 契約や従業員の承継がスムーズにできる
それぞれ確認していきましょう。
組織体制や意思決定プロセスの改善ができる
会社分割を行うことで、事業ごとに組織を再構築し、責任範囲や業績の管理を明確化できます。
分社化によって経営陣の裁量を拡大できるため、現場主導の柔軟な経営が実現しやすくなる点もメリットです。
不採算事業を切り離せる
会社分割は、赤字部門や成長が見込めない事業を分離して整理する手段としても有効です。
長年続けてきたものの収益が上がらない事業を分割し、売却または清算することで、コア事業へ集中できます。
契約や従業員の承継がスムーズにできる
会社分割は、事業に関する資産・負債・契約関係・従業員の雇用契約などを包括的に引き継ぐものです。
事業譲渡のように再契約や移転手続きを行う手間が必要ありません。
会社分割のデメリット
会社分割にはさまざまなメリットがある一方で、見逃せないデメリットもあります。
手続きが複雑になりやすい
会社分割を行う際には、分割計画書の作成、株主総会での特別決議、官報公告、債権者保護手続きなど、多数の法的・事務的手続きが必要です。
新会社を設立する場合は、登記や資産の移転手続きに加え、会計・税務上の処理も発生します。
許認可や契約の引き継ぎが制限される場合がある
会社分割では原則として事業に関する契約・資産・負債などを包括的に承継できます。
しかし建設業や宅地建物取引業などの一部の業種では、許認可の再取得が必要となるケースがあります。
人材流出や組織の一体感低下を招く可能性がある
会社分割は組織体制を大きく変えるため、従業員の不満が高まりやすいという側面もあります。
特に分割によって配置転換や雇用先の変更が生じる場合、優秀な人材が離職してしまうリスクがあります。
まとめ
会社分割は、事業の再編や経営効率化を実現するための有効な手段です。
一方で、手続きが複雑で専門的な知識を要するほか、許認可の再取得や従業員の配置転換など、想定外のリスクやコストが発生する可能性もあります。
不安がある場合は、なるべく早めに税理士に相談することをおすすめします。
基礎知識
-
合同会社の設立で資本...
合同会社を設立する際、最も重要な検討事項のひとつが資本金額の設定です。法律上、下限額は設けられていないものの、 […]

-
M&Aにかか...
M&Aを行う場合、税金が発生します。発生する税金は、株式譲渡や事業譲渡といったスキームごとに異なります […]

-
M&Aにおけ...
中小企業においてもM&A(合併・買収)が一般化してきた昨今、会計上の論点として重要になるのが「のれん」 […]

-
税務調査で修正申告が...
個人事業主であっても法人であっても、常に税務調査の対象になる可能性があります。十分に事前の準備を行っていたとし […]

-
株式移転による組織再...
組織再編の方法としては、経営統合や株式交換、株式移転、会社分割という方法があります。その中でも、株式移転による […]

-
法人にかかる税金の種...
法人として事業を運営していく上で避けて通れないのが、税金です。法人にかかる税金にはどのようなものが存在するのか […]

よく検索されるキーワード
税理士・公認会計士紹介
[得意分野]
事業再生・合併M&A・相続税、贈与税等の資産税、法人税、所得税、消費税、経営計画、経営分析、原価計算、法人税、消費税
[経歴]
- 大正15年11月 生まれ
- 昭和26年 3月 神戸商科大学(現兵庫県立大学)経営学科卒業
- 昭和26年 4月 ニチメン株式会社(現双日株式会社)入社
- 昭和34年 1月 公認会計士登録
- 昭和40年 1月 ニチメン株式会社を円満退社
- 昭和40年 3月 税理士登録
- 平成 2年10月 ファイナンシャルプランナー登録
- 平成 3年10月 医業経営コンサルタント(経営)登録
- 平成14年 7月 税理士法人ムサシ 代表社員
- 平成17年 6月 NPO法人「公的病院をよくする会」副理事長
[得意分野]
経営企画、内部統制、原価計算、事業再生、法人税、消費税、相続税
[経歴]
- 昭和56年 1月 生まれ
- 平成17年 3月 神戸大学経営学部卒業
- 平成17年11月 公認会計士2次試験合格
- 平成17年12月 より平成21年6月まで新日本監査法人勤務
- 平成24年 7月 公認会計士登録
- 平成24年12月 税理士登録
- 平成30年 4月 税理士法人ムサシ 代表社員
[得意分野]
経営計画、経営分析、原価計算、法人税、消費税
[経歴]
- 昭和62年11月 生まれ
- 平成18年 3月 山口県立防府高等学校卒業
- 平成22年 3月 関西学院大学商学部卒業
- 平成22年11月 公認会計士試験合格者取得
- 平成26年10月 公認会計士登録
事務所概要
| 事務所名 | 税理士法人ムサシ |
|---|---|
| 事務所 |
【豊崎事務所】〒531-0072 大阪府大阪市北区豊崎2-7-9 豊崎いずみビル902 |
| 連絡先 |
【豊崎事務所】電話 050-3188-9536 FAX 06(4300)7121 |
| 受付時間 | 平日:9:00~18:00 |